決算資料と英語の論理展開
こんにちは。さくらリンケージインターナショナル CEO 上田怜奈です。 本記事は以前前身のさくらランゲージインスティテュートのブログに記載したものを、改訂し、転載したものです。 英語と日本語の文章において、言葉そのもの以外に大きく異なってくるものとしては、「論理の展開の順序」があげられます。 もう少し具体的に説明すると、抽象→具体の流れです。 「トピックセンテンス」という言葉は、大学受験などで「パラグラフリーディング」の方法を学ぶときに聞いたことがあるかもしれませんが、パラグラフ(段落)の中で、主張を一文でまとめたもので、その文のあとに、具体例などが続きます。 起承転結を重んじる(?)日本の文章とは対照的な流れです。 日本人が行う英語のスピーチにしろ、作文やEメールにしろ、文法的な正しさや語彙はクリアしているのに、わかりにくい、間違っているとさえ言えるのではないか、と言えるものをよく見かけます。 その多くに共通しているのは、この英語のアウトプットの構造が守れていないことであると考えます。 仕事で、某業界の大手数社のIR資料(決算短信でした)を日英比較していたときに、センテンスとしては日本語原文が英文に細かく正しく訳されているのに、とてもとても読みにくいものがありました。 その大きな理由としては、重要なところが段落の最後に位置しているため、ストーリーがとても見えにくいということ。 おそらく外国人投資家の方々は数字のところだけ見て、この文章のところは読みづらく挫折してしまうのではないか…とあやうく頭を机にぶつけそうになりました。 東証一部の株式の売買などは外国人投資家が7割程度を占めているそうですが… グローバル化を推進!といったような話をホームページやアニュアルレポートに記載している企業様は多く、それはとても素晴らしいことだと思いますが、同時に、実際のグローバル化という意味では、こういったこと(資料の読みやすさ、使いやすさ)に気を配るのも、会社の印象や評判を保つという意味では、大切なのではないかと思います。 ただ、逆にいうと、心掛けによってすぐ改善できることでもあるので、思い立ったらすぐに手を付けることのできる課題なのかな、とも思います。例えばIR資料なら、純粋な翻訳ではなく、ネイティブにリライトしてもらったり、英語がネイティブで専門知識のある翻訳者を登用する、スピーチなら結論から話す癖をつけるといったことで改善するでしょう。 ぜひ、企業としてのグローバルなイメージ管理を意識して、広報文にも戦略的なコミュニケーションを用いるようにしましょう。 本日は以上です。お読みいただき、ありがとうございました。 国際コミュニケーションのコンサルティングファーム クオリティ翻訳/企業研修/欧州進出コンサルティング さくらリンケージインターナショナル社 創業者兼CEO 上田怜奈