みなさんこんにちは。さくらリンケージインターナショナル社 創業者/CEO 上田怜奈です。
はじめに、さくらリンケージインターナショナル社を代表いたしまして、このCOVID-19危機による困難な時代に、インフラを支えるべくお仕事をされている方々に感謝の意を表すると共に、皆様や皆様のお取引先、そしてご家族や友人、大切な方々のご無事とご安全を心よりお祈り申し上げます。また、COVID-19の影響に関する翻訳につきまして、引き続き優先して対応させていただきます。弊社につきましては、現在完全リモートで対応しております。
今回のブログ記事は、そんな状況の中、弊社をご愛顧くださるお客様のために、その中でも特に英語学習者でもある方々のために、したためました。企業や団体において、国際部等で日々英語の研鑽をしながら取引を担当されている方、ローカリゼーションを担当されている方、などの参考になれば幸いです。
2020年4月5日、英国女王、エリザベスII世によって行われた、68年の在任期間で5度目とされる「特別」なスピーチ(クリスマスなどの恒例のものを除く)が英国内部のみならず、ニュースやSNSを通じて各国で話題となりました。
エリザベス女王のスピーチは常にそうであるかと思いますが、この度も、細部まで配慮がなされ格調高く、けれどもシンプルでわかりやすいものであるように思います。
今回はそのスピーチを取り上げ、日本語と英語で味わいます。
予期せぬ困難をいくつも乗り越え、大きく変動する時代に対応してこられたエリザベス女王の想いと姿勢を、どのように私たちが日々の生活に取り入れていけるか、一緒に見ていきましょう。
下記の訳はBBC JAPANのホームページ(https://www.bbc.com/japanese/52177225)掲載の公式の動画字幕を参考に、英文との比較のために、より直訳に近いものに変えています。4つのパートに分けて、見ていきましょう。
ちなみに、英語学習の効率としては、中上級者であれば、英語のスピーチ動画を見る→英語のスクリプトを見る→もう一度英語のスピーチ動画を見る→日本語訳を見る→日本語字幕のついたスピーチ動画を見る
といった形がよろしいかと思います。
まず最初のパートで出てくる言葉を少し解説します(上級語彙が苦手、という方は、これを読まれてから、動画を見る、という形でもよいかと思います)。
disruption 崩壊、混乱、途絶
grief 悲しみ (悲しみのなかでもとりわけ、不幸などによる深い深い悲しみのことです)
enormous 非常に大きい、巨大な、すごい
selflessly 無私の(日本語に直訳できるところが凄いですね。まさしく無「私」の。スピーチなどで、何かに身を捧げて努力している人たちなどについて使われることが多いです)
vulnerable 傷つきやすい、弱い
sparing 質素な
thereby それによって (少し文語的な、一般市民が普段使うには固い言い回しです)
英語のスピーチ動画はこちらをご覧ください。
【スピーチ英文(1)】
Queen Elizabeth II: (00:16)
I’m speaking to you at what I know is an increasingly challenging time, a time of disruption in the life of our country, a disruption that has brought grief to some,
financial difficulties to many,
and enormous changes to the daily lives of us all. I want to thank everyone on the NHS frontline,
as well as care workers and those carrying out essential roles who selflessly continue their day-to-day duties outside the home in support of us all.
I’m sure the nation will join me in assuring you that what you do is appreciated, and every hour of your hard work brings us closer to a return to more normal times.
I also want to thank those of you who are staying at home, thereby helping to protect the vulnerable, and sparing many families the pain already felt by those who have lost loved ones.
【スピーチ和訳 (1) やや直訳調で】
皆さんは今非常に困難な時を経験されていることと思います。
今この国の生活は混乱し、この混乱で悲しみを経験している人もいます。
多くの人々が経済的な困難を抱えています。
そして私たち全員の生活はすさまじく変わってしまいました。
国民保険サービス(NHS)の最前線にいる皆さんに感謝しています。
その他介護の仕事や、生活に不可欠な役割を果たしている皆さんにも感謝します。
自分のことは顧みず、自宅以外で私たち全員のために毎日の職務を果たしてくださっている方々です。
私だけでなく、国民全員が一緒に、感謝しているはずです。
皆さんが懸命に働いてくださる1時間1時間ごとに、私たちの生活は日常に近づいています。
自宅にとどまっている皆さんにも感謝します。
皆さんが家にいてくださることで、弱い人たちを助けることができ、
愛する人をすでに失った大勢の悲しみを他の多くの家族が経験しなくて済むのです。
【上田コメント】
“I want to thank everyone on the NHS frontline, as well as care workers and those carrying out essential roles who selflessly continue their day-to-day duties outside the home in support of us all.”
「国民保険サービス(NHS)の最前線にいる皆さんに感謝しています。
その他介護の仕事や、生活に不可欠な役割を果たしている皆さんにも感謝します。」
ここで最前線、インフラを支える方々のために感謝の意を述べています。
I want to thank everyone for~ ~について皆さんに感謝したいと思います
という表現は、職場のスピーチでも、あらたまってチームのメンバーや社員に感謝の意を捧げるときに使えますね。
エリザベス女王は第二次世界大戦終戦の年となる1945年に、女子国防軍に入隊したときに、基礎訓練や管理作業のみならず、看護師の技術を身に付けて前線の病院に行きたいと語られた、という話もあります。そんな強い気持ちを持って生きてこられた女王にとって、最前線の人々に対する想いというのはいかばかりか、と思います。
今はウィンザー城で自主隔離をされながら、公務を遂行していらっしゃるようですね。
”and every hour of your hard work brings us closer to a return to more normal times.”
「皆さんが懸命に働いてくださる1時間1時間ごとに、私たちの生活は日常に近づいています。」
私も個人的に好きな部分なのですが、”every”という単語によって、それぞれの努力が強調、評価され、そして”closer”で成果につながる感覚を得られることから、懸命に働いている人たちがまた一層、報われる気がします。
このように1つ目のパートをじっくりと見ていくと、私たち一人ひとりに、何かできることがあるような気がしてきますね。責任感と共に自宅にいながら(無論、職業上の必要性がある方が別なのは言うまでもありませんが)、今日何をすることができるでしょうか。
様々なことが固く閉ざされたように感じる時代ですが、皆さんの一日に、少しでも、彩りが見つかることを願っています。
次回は2つ目のパート、「誇り」について見ていきます。
本日は以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
翻訳/企業研修/欧州進出コンサルティング
さくらリンケージインターナショナル社 代表 上田怜奈
※本投稿における解説は個人の感覚、感想に基づくものであり、英国王室の正式な見解を表しているわけではありません。本投稿に関するご意見、ご感想についてはメッセージにてお受けしますが、英語や内容についての個別の質問には、お答えしかねることをご了承ください。